日本財団 図書館


 

高くなるようである。その目安は耐力220N/mm2前後となるので、部材組立施工時における厳しい冷間曲げ加工等をなるべく避けることが望ましい。したがって、この観点からは素材として質別Oか、弱加工材が適している。
(3)接触腐食
船舶用アルミニウム合金及び関連する各種金属の電極電位を表3.54に示す43)。これらのアルミニウム合金や金属が相互に接触すると、海水中ではそれぞれの電位が違うため、低い電位のものがアノード(陽極)となり、高い電位のものがカソード(陰極)となって、アノード側が腐食する。例えば、アルミニウム合金が銅と接触すると、アルミニウム合金がアノードとなる。
艤装品関係の部品は、アルミニウム合金以外の金属材料が多く、かつ、その電極電位がアルミニウム合金より高いため、接触腐食を注意しなければならない。これを避ける有効な方法は、組合せるときにアルミニウム合金との電極電位差が小さい材料を選ぶことである。しかし、艤装品は機能が優先し、購入品が大半を占めている。最も多い組合せは、アルミニウム合金と鋼材の接合である。また、銅合金製部品の使用は極力避けるべきであるが、やむを得ない場合にはクロムめっきしたものを用いる。
図3.39は、アルミニウム合金と鋼材をボルト結合する場合の基本的な考え方である。鋼ボルトを使用する場合は図3.39(a)のようにアルミニウム合金側を、また、アルミニウム合金ボルトでは剛b)のように鋼材と接する面をそれぞれ絶縁する。絶縁には、絶縁コンパウンド、ネオプレン(板)、又はポリエチレン樹脂等のプラスチック類を使用すればよい。そして、海水やその飛沫のかかるような部位は、端末部の表面をシーリング・コンパウンドで封じて水密にする。

 

096-1.gif

図3.39アルミニウム合金と鋼のボルト結合

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION